一回だけ浮気したい人妻～本当に一回だけだった～

不倫をテーマにしたテレビドラマがヒットするなど、世間ではひそかに禁断の恋がブームになっている。程度の差はあれど、男も女も心の中のどこかに「不倫願望」を持っているのかもしれない。昼顔という単語を流行らせたあのドラマは、そうした男女の奥底にひそむ願望を心地よく刺激する。

今回出会った人妻は、その願望をちょっとだけかなえてみようと思ったのだろう。俺と一回だけセックスして姿を消した。不倫に発展することを怖れたか、二度と会ってはくれなかった。いわゆるプチ浮気。出会い系でも、一度のセックスできっぱりおしまいにする人妻が少なくない。

掲示板には「遊んでみたい」と書いてあった。人妻の「遊びたい」は「誰かとセックスしたい」に他ならないので、俺は人妻が安心してこっちにむかって歩いてこれる道を作ってあげる。

「僕は後腐れのない男ですよ。奥さんにとって遊びやすい男です。今すぐでも構いません。奥さんの熱いお遊びの相手になってさしあげます」

「熱いお遊びだなんて・・・やだわ、もう（笑）でも、乗っちゃおうかしら」

痩せていて背も低く、笑うと頬が光ってチャーミングだった。人妻はときどき腕時計を見る。時間が気になるのだろうか。時計を見ると午後2時。

「あのう・・・そろそろ」

「帰るの？」

「いや・・・その・・・夕方までに帰ればいいんですけど・・・このままではあっという間に夕方になってしまいそう・・・」

うつむき加減になって股をきゅっと閉じて畳んだハンカチを両手で握る。

（セックスしたいんだな）

人妻の欲望が手に取るように見えて不意に興奮したのを覚えている。これは人妻ならではの所作で、独身女性にはない。女は30代になると性欲がやたらと強くなり、ふつふつと沸いてくる性欲を自分でどうしたらいいのかわからない。その解決不能な性欲は、人妻の態度や表情にすぐに拡散してくる。

「ホテルで休みましょうか、とりあえず・・・少しお疲れのようですし」

言うと、目をしばたたかせる。

「疲れてる？　私が？　疲れてるかしら・・・そうですね・・・疲れてるかもしれませんね。・・・休んでもいいかな」

今池公園をすぎてプチホテルが近づくと人妻は日傘で身体を隠すように歩いた。傘の骨が俺の右腕を執拗に擦る。そんなところにも、人妻の性欲が現れている。

人妻はやはり飢えていた。最初は固かったが、敏感な部分を責めるとお産のときのような声を出して狂おしく悶える。

「セックスしたかったんだね・・・奥さんっ」

座位で陰茎を膣壁にこすりつけながら耳元で話しかける。

「うんうん・・・したかったの・・・したくてしたくて・・・ああんっ！」

「ああ・・いいよう・・・奥さん・・・気持ちいいよ」

にゅちゃにゅちゃと音を立てて出し入れを速めていく。最後は正常位でディープキスをしながら射精した。陰茎はゴム付きだったので、かわりに唾液を口の中に垂らしこんだ。

激しいセックスだった。これも独身女にはない激しさだ。

行為のあと、人妻は時間をかけて慎重にコスメを修復し、バスルームで急いで服を着た。慌ただしく布を擦る音やファスナーを勢いよく動かす音、アクセサリーの金属的な音が響いてきた。

ホテルを別々に出てしばらく離れて歩き、県道60号に出たところで走って追いついて並んで歩いたが、会話はない。俺が何か問いかけても、微笑みしか返さない。彼女が発する音はハイヒールの靴音だけ。けっきょく彼女が口にした言葉は「この辺でお別れしましょう」だけだった。それから彼女は今池バス停の列に加わった。人妻の後ろにすぐに別の客が並び、分け入る隙はなかった。

特に再会の約束はしなかったし、俺も過去の経験から、これは一回限りのプチ浮気に違いないと思ったのだが、弾力のある乳と締まりのいい膣の味が忘れられず、それから何度かしつこくセックスに誘った。だが人妻は決して応じることはなかった。

「後腐れのない男じゃなかったのですか？　これ以上付きまとわないでください」

最後は言葉でビンタされるようにぴしゃっと叩かれた。

以上、人妻のプチ浮気に付き合った体験談。