一度も見たことがない彼女のヌード

ミントC!Jメールで知り合った29歳の女と深い関係になって一か月になる。

見た目ガードが固そうで、これは男女の仲になるまでだいぶ時間がかかると見込んでいたのだが、ある日居酒屋にて二人で盛り上がったとき、何気なくラブホに誘ったら抗うことなく付き合ってくれた。意外と上手くいくものだ。

29歳であるからすでに経験者。裸にすると艶めかしい素肌と乳房、そしてエロい陰部が現れた。演出なのかラブホのその部屋はやや薄暗く、それが彼女の妖艶さを引き立てていた。

その夜はセックスでも盛り上がった。互いにセックスの歓びを堪能した気がする。彼女のことがますます好きになった。

しかし最近気づいた。

俺は彼女とセックスする関係になっていながら、彼女のヌードを一度も見ていないのである。

これだけ至近距離にいながら、彼女の妖艶なヌード姿を拝めないとは。

裸は何度も見たが断片的にしか目に入らない。

むろんベッドの仲にいる彼女は全裸である。一糸まとわぬ生まれたままの姿で俺の身体に密着している。乳も陰部も俺の手中にある。

しかしヌードは見えない。

ところでヌードとは何か。

それは女の裸体を一瞥できる絵のことである。まさしく顔から足の先まで視覚の中に納まっている状態。彼女の美しい顔と、Dカップの豊満な乳と、毛の生えた恥丘と、細い肉感的な太ももを同時に視たとき、彼女の妖艶な肉体は、そのとき初めて俺の目の前で開花するのだ。

だが見たことがない。

尻と太ももが見えた時には乳は見えない。乳を観ていると恥丘が視野から外れる。顔を見ているときは言わずもがな首から下が消える。

「一度でいいからヌードを見せてくれないかな……」

「ヌードって？」

「全裸でそこに立って」

「いや」

全裸の肉体をさんざん弄られていながら、俺の目の前でヌードの立ち姿を見せてくれないとはどういうことだろう。

女はわからない。